「何処へ」

空は、こんなに広いのだから
海は、こんなに大きいのだから
小さな小さな隅っこで、膝を抱えていないでね。

深呼吸ひとつ
あなたはひとつ大きくなる
深呼吸ふたつ
あなたはふたつ自由になる。

さあ ゆっくりと立ち上がって
四方を見ようよ
さあ 何処へいこう
何処へでも    何処へでも

今のお気に入り着物について

蚕の口から、細い細い白いものが出てくる。
少しずつ手繰り、縒り合わせ一本の糸になる。
何度も何度も繰り返して糸の束ができていく。
節の多い荒れた小さな手で、すべすべした絹糸の
手触りを確かめつつ、
わが子には、どんな色が似合うだろうと思案しつつ、
慎重に糸を染める
やっと機にかけられる。
トントン、スー、トントンスー、少しずつ織っていく。
外は雪、機場はしんしんと冷えている。
悴む指を息で暖めつつ織進む
陽に焼けた小さな手から、つややかな布が生まれくる
一反織りあがるまで、糸に願いを込める
これを身にまとうわが子が、すこやかであるように、
幸せな日々を送れますようにと、つぶやきながら・・・・・
こんな風に祖母が仕立てた着物は、母の手を経て、
今私のもとにある
これを纏う時、亡き祖母と話をしているような気がする。
懐かしく、あたたかなものに包まれる
特別な着物です。

好きな映画

好きな女優

好きな作家